LalaーMukuーMerry

丹下左膳餘話 百萬兩の壺のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

丹下左膳餘話 百萬兩の壺(1935年製作の映画)
4.4
「戦前の日本映画を見てみよう」私的シリーズ第2弾は、丹下左膳。ヒーローの名前も大河内傅次郎も聞いたことはあるが、ちゃんと見るのはこれが初めて。たくさんある丹下左膳ものの中でダントツ評価の高い、「余話、百万両の壺」(1935)をみることに。
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結果、大正解!! コメディだったのか。面白い!! 音楽もよい(終盤でなぜかクラシック音楽も登場するがそれも楽しい)
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片目片腕の凄腕剣術使いの用心棒で居候の丹下左膳。アップは怖そうだが、実は人が好い。世話になっている矢場(遊郭?)の女将とは、すぐに口喧嘩になる仲の良さ、まるで女房に頭の上がらない夫のよう。女性が強いと世の中平和ですねぇ。
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百万両の値打ちがあるとは到底思えない「こけ猿の壺」。二束三文でクズ屋に売ってしまった持ち主(殿様の弟、源三郎)が、そのことを知ってあわてて江戸中を懸命に探し始めたものの・・・女将と左膳がひきとった子供(ヤス坊)の金魚鉢になっていた。源三郎の浮気問題と、左膳の借金返済問題が絡んできてドタバタ感が高まる中、果たして壺の運命はいかに?(クスっと笑える落ちでした) 
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直前のセリフできっぱり否定したことを、場面が切り替わると、あっさりやっている。こんなシーン転換の妙が何度も繰り返されて、笑ってしまう。よくできてるワ。
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今日、NHK歴史秘話ヒストリア「小津安二郎」の中で、小津とこの作品の監督(山中貞雄)との関係が出てきて、監督がまだ25歳の時の作品だったということに気づく。この3年後に日中戦争で亡くなっていたのですね(惜しい人を亡くしました)。