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GOのJINのレビュー・感想・評価

GO(2001年製作の映画)
4.8
在日コリアンを題材にした映画というのは最近見かけないもので、とても時代を感じてしまいます。この年代で私が好きなのは『パッチギ!』や『偶然にも最悪な少年』ですが、今作は更に面白かった。
在日朝鮮人から韓国人になった杉原は、日本の高校に進学。しかし、彼女に自分が在日であることを告白できずにいる…とまぁこんなあらすじでは言い尽くせない。
パパママの癖の強さ。一世や二世の芯の強さを感じずにはいられない。
民族学校時代の悪友と体罰教師。暴力の時代。電車から線路を走って逃げるチキンレースや、足蹴りバスケも見もの。華麗なるアクション。

ジョンイルが在日の女の子を庇って刺されるシーンがそれはもう苦しい。緊張した。無視する周りの大人たちがいちばんひどい。
追い打ちかけるように、在日であることを理由に彼女に振られて。血が汚いって言われたけど、前のシーンでDNAは全部繋がってるっての思い出した。頭では分かるけど、そこは相容れない時代ですよね。
しかしその後の、警察官との会話のシーンがゆるくて素敵。さらにタクシー運転手の計らいによるパパとの勝負。緩急がうますぎます…パパの愛を感じずにはいられない。
最後はまぁご都合っぽい。けど、クルパーの必死の叫びは、差別や違和感を今までずっとずっと溜め込んでいた分なのだと。だからこそ、国籍なんて関係ない、国境線なんて僕がぶち壊す、そう体現する彼がとてもかっこよかった。

歴史は根深いけれど、3世、4世からは共生へと歩んでいくのが筋だったのでしょうか。国家や祖先がどうであれ、苦しんだ少年少女がいたんだなって、少し思った。

「バラと呼んでいる花を別の名前にしてみても美しい香りはそのまま」
台詞の一つ一つが大好き。
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