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GOのSIのレビュー・感想・評価

GO(2001年製作の映画)
5.0
2019.1.7
自宅TVにて鑑賞

「名前ってなに? バラと呼んでいる花を別の名前にしてみても、美しい香りはそのまま。」

とんでもなく素晴らしい作品だった。日本アカデミー賞の全部門を総ナメにしたのも頷ける。全ての才能が結集している。
原作者の金城一紀は自身が在日韓国人であり劇中の台詞一つ一つが重い。意味のある映画になっている。『ゴッドファーザー』然り『プラトーン』然り、やはり制作陣の過去とリンクした作品は名作になりうる。
宮藤官九郎が脚本を務めることで細部に狂気が行き渡り重厚感を失ったのと引き換えに、1カットをスプリッティングして詰める編集や、前後のシーンも含めてカットの順番を入れ替える手法を用いることで、疾走感あるハイセンスな映像にまとめているのが見事だ。
映像がコミカルになり過ぎない理由としては窪塚洋介や山﨑努、山本太郎といったワイルドで恰好の良い俳優が集まっているからだろう。皆演技が本当に素晴らしい。
柴咲コウは『バトルロワイヤル』を経て今作で大ブレイクした。以降受賞歴は少ないものの、確実に数を稼げる数少ない女優の一人となった。今作でもコケティッシュな魅力がきちんと描かれている。

どこをどう切り取っても面白い作品だと思う。
売れなかったのは偏に『千と千尋の神隠し』に重なってしまった事が理由に挙げられる。勿体ない…。もっとたくさんの人に見てほしい。

それにしても、窪塚洋介、山本太郎、柴咲コウ。
今作に出ていた俳優が演技の枠を飛び越えて、歌であったり政治家であったり起業であったり、思想の強い活動をしているのは面白い。(窪塚洋介は人間の枠すら飛び越えようとしてしまった過去もあるが…)
映画が本当に人の価値観を変えられるのであれば、観客ではなくまずそこに密に関わっているスタッフや出演者に影響を及ぼしていくのは当然の道理というものだろう。

何度でも見返したい作品。おすすめです。
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