旅するランナー

GOの旅するランナーのレビュー・感想・評価

GO(2001年製作の映画)
4.2
【行定勲監督・田中まこトークショー付き上映会】

在日青年が主人公だけど、ひとりの若者の怒りや葛藤や優しさを見事に描き出しています。
原作:金城一紀の直木賞受賞小説、脚本:宮藤官九郎によるポップなグルーブ感を、行定勲監督がイイ感じで映像化してます。
青くて痛くておもろい青春映画です。
僕は、この映画好きな人です。

窪塚洋介・山崎努・大竹しのぶが親子ということで、もちろんキャラ強烈です。
そこに、えっ!この人(山本太郎とか)も出てるのって感じで、クセの強い俳優たちがそれぞれイイ味出してます。
そして、何と言っても、柴咲コウの可愛さ!
パーティー会場で、落語「紺屋高尾」をBGMに、階段を下りてくる登場シーンには目を奪われます。
もうこれは「柴崎GO」です。
僕は、この女優さん好きな人です。

<映画上映後トークショー>
神戸フィルムオフィス創立20周年記念上映会。
この映画は東京を舞台にしているけど、冒頭のグレートチキンレースシーンは、神戸市営地下鉄上沢駅で撮影されています。
神戸で撮影することになった経緯、撮影秘話、その後の反響が語られたんですけど、非常に面白いです。
さすがに、線路上を人が走る許可は、他の鉄道会社では下りなかったらしく、この神戸での撮影が奇跡的な迫力ある名シーンになっています。
これが業界で評判になって、神戸フィルムオフィスへのロケ地問い合わせが殺到したらしいです。

映画化は東映とフジテレビのコンペになって、フジ側は主演をタッキーにしていた。
原作者金城氏が柴崎コウと池袋ですれ違ったことがあり、出演を熱望した。
金城氏は、在日以外の監督起用を希望しており、ちょうど映画「ひまわり」で釜山国際映画祭で賞を取った行定監督に話が回ってきた。

在日コーディネーターのイ・キョンミさんは、荒川区では名の知れたスケバンだったらしく、当時を知っている金城氏は「なぜあの人がいるんだ!?」とビビり、それ以降現場に来なくなった。
映画に出てくる、「革命歴史」という分厚い教科書で身を守る技は、イ・キョンミさんが実際やっていたエピソードらしい。

柴咲コウ登場シーンや、窪塚が友人の死に涙するシーンなどに、落語が使われている。
NHK大河ドラマ「いだてん」のノリを、こんな所でもうやっていたのかと思いました。
脚本では、映画のラストで「おあとがよろしいようで」っていう窪塚のセリフがあったのだが、さすがにこれはカットされた。