マーくんパパ

パリは霧にぬれてのマーくんパパのレビュー・感想・評価

パリは霧にぬれて(1971年製作の映画)
3.6
題名とジルベール・ベコー映画音楽の甘美な響き、それにルネ・クレマン監督とくれば絶対上質ミステリーと期待膨らむのは当然。出だしのパリ近郊の霧に煙る運河で子供を貨物船に乗せぼんやり景色を眺める母親F ・ダナウェイ、クレマン前作『雨の訪問者』と同じようなしっとりしたムードの中に漂う危うい雰囲気だけでもう惹き込まれる。2人の子供に降り掛かる災禍の展開が予測でき、いつどんな風にとハラハラ焦らされ、精神科医に通う妻ダナウェイの情緒不安定も子供に注意散漫でサスペンス盛り上げる。ただ子供拉致の原因は工学知識ある夫へ産業スパイを迫る組織の脅迫と月並みで手引きする者も階下の仲良し装う女友達とベビーシッターの女という小物しか表に出て来ない点と夫役がしっくり来ないので一級のサスペンスにならず。事件解決しても親として子供のトラウマ解消されているのか余分な事が気になった。