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マチルダ・ザ・ミュージカルのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

4.5
ミュージカル映画がとにかく量・質とも大凶作だった2022年、最後の最後に素敵なヤツがきました!児童小説を映画化した1996年の原作映画の舞台ミュージカル化の映画化(!?)作品で、この映画→舞台ミュージカル→映画のパターンは「プロデューサーズ」や「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」と同じですね。華やかな歌唱にダンス、"女優"を捨てたエマ・トンプソンの壊れっぷりも見どころ。

ふざけた両親の間に望まれない子供として生まれたマチルダは、育児を放棄され学校にも行かせてもらえず、移動図書館に通い本を読む毎日。そんな折、ひょんなことから学校に行けることになったマチルダですが、そこは元ハンマ―投げ選手のおそろしい校長が支配する牢獄のような場所で...

舞台ミュージカル版と同じマシュー・ウォーカスが監督を務め、舞台という制約から解放された喜びがあふれたのか... やりたい放題やな(笑)!学校の教室という枠を超えまくってもうなんでもありな楽しい映像世界がミュージカルによく合っています。こういう無茶苦茶なファンタジーは普通のドラマ映画じゃ非現実的すぎてできないけど、ミュージカルなら素直に楽しめる😊圧巻のダンスは振り付けが本当にきれいで、またそれを収める画面の使い方もめちゃイケてる!

1996年の映画版では、マチルダを気遣ってくれる優しいハニー先生と彼女の亡き父の関係により焦点が当たっているのに対し、ミュージカル版では、マチルダが語る脱出術師の話をうまく利用、遺品奪還話も省略することで、ハニー先生の物語はある程度維持しながらも両親に愛されていないマチルダに焦点を当てていました。

1996年映画版では、意地悪な見方をすると、両親の愛を知らないマチルダが、ハニー先生の愛する父を思う気持ちのために命がけで戦うというストーリーが確かに違和感があり、ミュージカルではこれが上述のようにきれいに処理されていて、より心に響く仕上がりに!一方で、1996年映画版の方がコメディとしては面白く全体に観ていて楽しい仕上がりになっています。「それぞれによいところがあり、どちらも素晴らしい」という王室・皇室的な発言をお許しくださいませ。

大食いなんとか的なものは基本嫌いだけど、このブルースだけは応援してしまう!とても好きなシーンです。そして、絶叫するハニー先生に大爆笑🤣エマ・トンプソンの怪演が光る(?)校長の顛末は、あぁスッキリしたぁ!となりました。

メインの楽曲である"Revolting Children"、ちょっと引っ張り過ぎ?学校へ向かう時点であぁ次この曲来るなと期待が高まったと思いきや、そこからなかなか曲が出てこず、さぁ来るぞ来るぞという前振りだけがどんどん重なり体感時間20分以上は確実に経過してからのようやく大団円。

しかしこの過剰な引っ張りに負けない華やかな学校の変貌ぶりは、明日から通いたくなること間違いなし(が、現実の本作を観た子供たちは、自分の学校と比べてげんなりして学校に行きたくなくなるかも...)。いや、いくら自由で楽しい学校ったって●●●併設のあれはやり過ぎでしょ😋でも、どんなに自由になっても制服だけはちゃんと着用するのがさすがイギリスやね...
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