鮭茶漬さん

夜、鳥たちが啼くの鮭茶漬さんのレビュー・感想・評価

夜、鳥たちが啼く(2022年製作の映画)
3.0
山田裕貴のダメ男ぶりが何ともリアル。芸能やスポーツ以外にネットの登場で成功が身近に感じられる昨今、夢から抜け出せない不器用な人間を見事に演じていた。松本まりかも見事だ。妙に色っぽいが下世話で嫌味なエロさを感じない。憂いしか感じない。人に裏切られ、人に傷付けられ、自ら傷付き、ズタズタな男女が出会い、くっつきすぎずも、淡泊ではない、絶妙な距離感を、少しずつ歩み寄るリアリティ。だからこそ、ある夜の濡れ場の、エロさといったらない。臨場感あるから。性欲を満たすというよりも、互いの欠陥を補う行為に似ている。だから、いやらしくない。
救いようのない自己嫌悪の世界、そんな日常が重苦しくもあるが、それでも生きる細やかな希望が感じられる、成功だけが幸せではない、自分の欠陥を産めてくれる誰かがいて、自分も誰かの欠陥を埋める存在でいれる幸せ。うん、そんな存在意義って大事よなって感じた。
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