シュトルム凸映画鑑賞記録用改め

野いちごのシュトルム凸映画鑑賞記録用改めのレビュー・感想・評価

野いちご(1957年製作の映画)
3.8
名誉博士号の授与を控え、栄達の頂点を極めた老医師イサーク。思うところあって、授与式の会場まで飛行機ではなく、車で行くことに。ロードムービーの定番開始設定の恐らく走りでしょうか?
人の良さそうなお爺ちゃんなのに、いきなり息子の嫁に、冷淡な人だと叱られてショック。しかし段々と何故そう言われるのか分かってくる。正しさを独占するが如き態度で、高みから他人を見下ろしている。浮気されても上辺の優しさで、浮気した妻に同情してみせたりする。君の気持ちが分かるよなんて声を掛けたりしてとんでもない偽善的優しさ。だから妻に男を作られ、初恋の従姉妹も奪われる。
道中、青春の象徴のような三角関係の若者を拾い、心の通い合わない夫婦ものも拾う。まるで自分の一生を再体験してるようなもの。
道中、夢とも幻想とも付かない追想で、人生を振り返る。遠くない死を感じる。
「いちごはもう無いわよ」
昔の若い姿のままの恋人がそう告げる。若者たちも旅立った。青春は既に過ぎ去ってしまった。だが、息子と妻の間にはまだ希望があるようだ。老人は旅を終えて、安らかな眠りを迎えるのだった。