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レジェンド&バタフライのTSのレビュー・感想・評価

レジェンド&バタフライ(2023年製作の映画)
2.3
【全てが中途半端】52点
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監督:大友啓史
製作国:日本
ジャンル:歴史
収録時間:168分
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 映画館で観たかったと思っていた作品でしたが、映画館で観なくても良かったと心底思いました。近年稀に見るほどの予算をはたいた大作であるはずなのに、蓋を開けてみたら拍子抜けの作品でした。何故こうなる。これは最早、キムタクと綾瀬はるかが好きな人しか受け入れられないファン映画と化しています。信長をはじめとしたあらゆる歴史物語を捻じ曲げて意味のわからない方向に持っていってしまってます。まあ、歴史解釈なんて人それぞれだから良いのでは?と思えますが、この大作でその展開はややまずいのでは?と思えてしまいます。噂によると20億円もかけて作成されたものの、元を取れていない模様。だから、こんな早くにアマプラで配信されてるのではとも感じ取れてしまいます。

 内容は戦国時代の大うつけ、信長が斎藤道三の娘である濃姫と政略結婚をするという話ですが、今作は死ぬほどこの2人にのみ焦点があてられているので、歴史好きとしてはかなり物足りません。そもそも濃姫に関する史料なんてほとんど残っていないので、描ける範囲に限界があります。それを今作は思いっきり無視し、かなり創作してると思われます。ここまで清々しくやってしまうならば、まあなんとでもしてくれ、と思うのですが中途半端に歴史モノとして描いている節があり釈然としません。ガチガチの歴史スペクタクルでいくのか、『信長協奏曲』のような歴史ファンタジーでいくのかはっきりとしてほしいところですね。従って、心を捉える層がかなり少なく、結局残されたのは、主演2人を猛烈に支持する人のみではないでしょうか。

 さすがに主演2人の演技は上々であり、演技に関しては特に文句はありません。しかし、残念ながら退屈で仕方ない。これだけ予算をかけているのに、メインの戦いシーンはほぼスキップ状態。せいぜい血生臭いシーンが描かれるのは、貧困層の村を訪れたところと本能寺の変くらい。一体何を見せられたのだと唖然とさせられてしまいます。

 また細かいことをいうと、これまた中途半端に古語を使うためわかりづらい。いや、現代語を使いながら語尾だけ古語を使ってくるのは中途半端。というか結局今作は全てにおいて中途半端としか言いようがないと思います。これだけの予算でこの出来は、今作に携わった全ての方が報われない。。鑑賞者としても非常に心苦しく歯痒いところです。

 そしてあろうことか、168分もあるのが強烈。尺だけ大作並みであり、あとは残念ながら釈然としない構成、展開。信長を扱った作品は山程あるので、ハイライトとも言える戦いのシーンをほぼぶった斬って、信長と濃姫の関係性だけに焦点を絞ったのはある意味唯一無二なのかもしれません。ラストの『ララランド』ばりの妄想劇も類をみない怪奇シーンと思えます。唯一良かったと思ったのが、さまざまなロケ地で撮影されているため、その描写が綺麗だったこと。。自分で書いておきながらこれだけ良かったと思われるのはだいぶやばいなと思いました笑

 ああ、本当に映画館で見なくてよかったです。
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