2人の男女が街を歩く。
何やらたくさんの人が荷物を持ってせっせと歩いている。
2人は静かにキスができる場所を探すが見つからない。
痺れを切らして彼女がおこって帰ろうとする。
男は街中を走り回り、先回り。
曲がり角、涼しい顔で彼女を待つ。
彼女は知らんぷり。それの繰り返し。
とうとう2人は仲直り。
美しい大きな木の下で動物たちに見守られキスをする。
古くも美しくい街から、新しい無個性的な集合住宅に移り住む。
何もない部屋で2人はただ2人の時間を過ごす。
言葉はない。
キスをすれば電気がともり、水が流れ、火が起こる。
隣人が奏でる音楽が心地いい。
そこに1つの椅子がやってくる。
家具が1つ、また1つと増えていく。
大きな木は伐採され、新しい家具が作られていく。
2人の部屋はたくさんの'物'で埋め尽くされる。
2人の間が埋め尽くされる。
使わない食器を磨き、机をふき。
聞こえてくるのは家電の電気音ばかり。
喋ったと思ったら喧嘩ばかり。
ものにあふれた集合住宅はとうとう停電に。
不意に訪れた静寂と暗闇。
音楽家が奏でる音楽が、ロウソクの火のもとに響いてくる。
2人は家具を捨て去る。
大きな切り株のもとでキスをする。
2人の純愛を通して文明化する社会に普遍的なテーマを投げかける素晴らしい作品でした。