もっちゃん

四月のもっちゃんのレビュー・感想・評価

四月(1962年製作の映画)
4.1
2人の男女が街を歩く。
何やらたくさんの人が荷物を持ってせっせと歩いている。
2人は静かにキスができる場所を探すが見つからない。
痺れを切らして彼女がおこって帰ろうとする。
男は街中を走り回り、先回り。
曲がり角、涼しい顔で彼女を待つ。
彼女は知らんぷり。それの繰り返し。
とうとう2人は仲直り。
美しい大きな木の下で動物たちに見守られキスをする。
古くも美しくい街から、新しい無個性的な集合住宅に移り住む。
何もない部屋で2人はただ2人の時間を過ごす。
言葉はない。
キスをすれば電気がともり、水が流れ、火が起こる。
隣人が奏でる音楽が心地いい。
そこに1つの椅子がやってくる。
家具が1つ、また1つと増えていく。
大きな木は伐採され、新しい家具が作られていく。
2人の部屋はたくさんの'物'で埋め尽くされる。
2人の間が埋め尽くされる。
使わない食器を磨き、机をふき。
聞こえてくるのは家電の電気音ばかり。
喋ったと思ったら喧嘩ばかり。
ものにあふれた集合住宅はとうとう停電に。
不意に訪れた静寂と暗闇。
音楽家が奏でる音楽が、ロウソクの火のもとに響いてくる。
2人は家具を捨て去る。
大きな切り株のもとでキスをする。

2人の純愛を通して文明化する社会に普遍的なテーマを投げかける素晴らしい作品でした。
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