「私はキリスト教徒なので
こういう時は神様にお任せするしかありません」
「前は鉱夫だったんだ
戦争が始まって炭鉱は閉鎖された
仕事ができなかったから戦へ行った
他に選択肢なんてなかった」
「ナチス式の敬礼や式典をして
ハーケンクロイツを付けたりしてる
それは嫌
私の父は大戦を経験した
でも後戻りする為に戦って受章したんじゃない」
「あそこで何があったか見てきた？
私も息子も祈って祈って祈って
十字架をきった
そしたら家には爆弾が落ちずに助かった」
「私の願い？
プーチンに助けて欲しい
根っからのロシア人なんだ
ウクライナに住んでいても」
「俺は神を信じてる
聖書にだって書いてある
隣人は殺してはいけない、と」
「あそこには何が？」
「レーニンの銅像だ
もし今レーニン万歳！なんて言えば
警察署で拷問される
だから俺たちは今レーニン無しで暮らしてる
なんとかね」
「スクーターに乗ると何もかも忘れられる
平穏でない人生なこともね
運転する女は幸せなの！
そのパワーを感じられるから！」
「ウォッカをやめなさい」
それが1番の問題よ」
「やめても何も変わらない」
「今ここで起きてるのは愚か者の戦争だ
そうとしか言いようがない」
「残念ながら21世紀になっても
人間は戦争をしたいのです
歴史を学ばなかったのです
何も教えなかったからだ
何年か後には笑って話しているでしょう
過去の戦争と同じように
でも亡くなった人たちは生き返らない
いつかはきっと友人に戻れるでしょう」
「もっとおつむがあれば戦争なんてしない
人も死なずに済んだ！
孤児にもならずに済んだ！
もっと早く撤退させるべきだったんだ！
なんのために戦争してる？
ポロシェンコの懐を肥やすため？
金は...私たちにはどうしようもない
金が孤児たちの父親になるの？」
「列車でキーウに着いた時
よく似た兄弟民族を見て思った
写真家としての主題が決まったと
だが兄弟民族なんてものはない
あるのは権力への渇望と
弱者への無関心だけだ」
