ごんす

エゴイストのごんすのレビュー・感想・評価

エゴイスト(2023年製作の映画)
4.6
鈴木亮平は耳をがっつり出したり眉を薄くすると『孤狼の血LEVEL2』の上林がオーバーラップしてしまわないかと思いきやしっかり浩輔になっている。本当にこういう人をスクリーンで観ると役者って凄いなぁと驚く。
とても柔らかな表情。

観る前は宮沢氷魚の方が柔らかな印象だったしパーナルトレーナーって体格的に鈴木亮平の方じゃないんだと思った。
惹かれ合う二人の職業がファッション誌の編集者とパーソナルトレーナーという設定もキャラクター造形に上手く生かされている。

画面酔いして気持ち悪くなってしまう人もチラホラいるぐらいに手持ちカメラを使った映像が続き、特にドキュメンタリーかと思うくらいに徹底した浩輔視点は少しでも演技が微妙とか思った瞬間に破綻してしまいそうだけど没入感が凄く見事だった。

“エゴイスト”という言葉は強いけど観賞後はこの言葉に対して今までと違った考え方をさせられる。
キャッチコピーの“愛は身勝手。”という言葉通りこのお話のような出来事を人づてに聞いたりするだけでは理解できなかったり、それは違うのではないか?と否定的な意見を持つこともあると思う。
だからこそ執拗なまでに浩輔の視点を追わせる。

良いなと思う恋愛の映画はそのまま人生の映画にもなっていると思うのでその点においても後半から特に素晴らしかった。
台所に立つ恋人の母の背中を見つめる浩輔を映すショットは最近観た映画の中でも特に印象的。
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