◆あらすじ◆
コリオレーナス・スノーは特権階級の学校の成績優秀者として第10回ハンガー・ゲームのゲーム参加者の教育係に選ばれる。コリオレーナスは貧困から抜け出すために勝利を欲していたが、彼の担当するルーシー・グレイは最も貧しくひ弱な少女だった。ルーシーは歌手として育ち、ゲームの会場でも彼女の歌は観衆の注目を集めていく。
◆感想◆
本作は「ハンガー・ゲーム」(2012年)の前日譚であり、後に独裁国家パネムの大統領となるコリオレーナス・スノーの学生から兵士となり、支配者として目覚めていく姿を描いた作品となっています。
18歳のコリオレーナス・スノー(トム・ブライス)は亡き父が将軍だったため、特権階級の扱いを受けるも、貧しい暮らしを強いられており、成績優秀者として賞金を得ることを望んでいました。しかし、第10回ハンガー・ゲームが学校の成績優秀者がゲーム参加者の教育係となり、その勝者が賞金を得ることとなったため、担当のルーシー・グレイをなんとか勝たせようと知恵を絞ります。若き頃のコリオレーナスはまだまだ純真で、ルーシーに対して親身になって付き合っており、後の独裁者の影を一切感じさせない好青年でした。
ルーシー・グレイ(レイチェル・ゼグラー)は最も貧しい第12地区のゲーム参加者であり、普段は歌手として暮らしており、戦いに対して消極的で優しい性格の持ち主でした。ゲームが始まっても彼女は他のゲーム参加者を気遣っており、観ていて危うさを感じるキャラクターでした。ルーシーは親身に付き合ってくれるコリオレーナスに信頼を置いており、その関係は清廉で好印象を受けました。
ハンガー・ゲームが開始されてから、ゲーム参加者が殺し合いを始め、強者に与する者からひたすら逃げる者まで様々な行動をとっていて、エキサイティングで危険に満ちた戦いが繰り広げられるとともに、コリオレーナスたち教育者がモニター越しにその様子を見て、援助を送る展開は観ていて楽しかったです。
ストーリー前半がハンガー・ゲームの様子を描き、後半にはゲーム後のコリオレーナスが第12地区の兵士として生きる姿を描いていて、コリオレーナスの性格が変わっていく様子がクッキリと現れていて、波乱に富んだ展開がとても面白かったです。ストーリー構成としてゲーム前からゲーム後の登場人物たちの行方をバランスよく描いており、本編より楽しかったように思います。
本作のキー・パーソンとしてハンガー・ゲーム考案者のキャスカ・ハイボトム(ピーター・ディンクレイジ)が最初から最後まで敵とも味方ともとれる存在として跋扈しており、彼女のゲームに対する執着心と冷酷さがコリオレーナスの人生に大きく絡んでいて、毒々しいキャラクターながら目の離せない存在となっていました。
ハンガー・ゲームの前日譚としての面白さとともにコリオレーナスの覚醒の物語としての面白さもあって、個人的にはとても楽しめました。
鑑賞日:2025年3月24日
鑑賞方法:Amazon Prime Video