たまにすーっと入ってくる映画ってあって、この映画はそれだった。なんて言ったらいいんでしょう、その時の感情とか体調とかのバランスに対してしっくりくるというか。
三浦透子がすごかったのかもしれない。恋愛感情や性欲がないという女性。ただ生きるだけで周りとの価値観の差であれこれ言われてしまう日々。そういう人もいるよねと感情移入できる等身大のキャラクターを演じてくれた三浦透子。
我らが前田敦子も良かった。元AV女優という設定がどこまで必要だったか分からないが、言いたいことを我慢できない性格、選挙活動で演説中の父親に怒鳴り散らかすシーンはすごい。
自分を自分で表現できないから人の声と近いと言われるチェロを弾いてきた蘇畑。そしてそれを卒業できるようなっていく過程が、三浦透子の演技を通じて今の私にすーっと入ってきたのでした。
お父さん役の三宅弘城が良かったな。元々自分にとってはEテレの「みいつけた」の人だったけど、色んなドラマで拝見して、いい役者さん。
妹役の伊藤万理華は、妹役だし妊娠中というナーバスな状態ということもあるけど、わーわー当たり散らす役。でも結局蘇畑が言いたいことを表現できるようになるきっかけを与える存在だった。
海を見つめる蘇畑はどんなことを考えていたんだろう。周りの当たり前を押し付けられる毎日でたまったストレスを海が吸い取ってリセットしてくれているのかな。蘇畑にとっては無くてはならない時間。
エンドロール、あっこれは羊文学っぽい、ってか羊文学だ!と思ったら塩塚モエカ作詞作曲、三浦透子の歌だったと知ってびっくり!!