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バッドサンタのblacknessfallのレビュー・感想・評価

バッドサンタ(2003年製作の映画)
3.9
この映画、と言うか、こーゆー男好きなんだよな。人生色々うまくいかなくて心身ともに疲れ果て、やさぐれてしまい酒や女に溺れてるが根の奥は腐ってなくて唐突にその良心や気高さを発露してくるやつ。
今作はおれと同じようにそのテのダメ男好きには堪らない仕様になってます。

話はありがち。ひょんなことから不遇な少年に真心を向けられることでダメ男(今作のはアル中で犯罪者で女癖が悪い)が良心に目覚める感じのよくあるやつ。
ありがちじゃないのは、彼の職業。クリスマス・シーズン限定でデパートで開催されるインベントのサンタ兼金庫破り笑
えっ!?何だこの兼業は?て思うけど、そこにうまい必然性が用意してある。
で、いくらダメ男とは言え主人公にこれはどうかと思う設定がある、これは観てのお楽しみ。性的にエグめのやつ笑

かなり好感持つのが難しいと思われるダメ男なんだけど、それがちゃんと物語が進行するにつれ、コイツいいやつなんだな、て思わせる方向に向かわせる演出は見事で後味も良い、とてもゴースト・ワールド撮った監督とは思えないぐらい笑

ただ、主人公の懈怠と諦観と鬱屈がない交ぜになった無闇にビターなセリフ回しなんかにしっかりテリー・ツワイゴフ監督の刻印はあった。

あと、主人公のダメ男演ってるビリー・ボブ・ソートンが素晴らしいんだよ。前にロバート・カーライルが一番のダメ男俳優と言ったけど、アル中系ダメ男ならビリー・ボブの方が上かもと思った。がんばれベアーズ ニュー・シーズンでもアル中のダメ男をうまく演じてるし。今作もアル中演技の冴えは見もの!本当に酔っぱらってんじゃねえかってぐらいのグデングテン具合なんだよ、足下のふらつきとか呂律の回らなさとか笑
そこも是非堪能してほしいっす😀

この映画観るの4回目ぐらいかな?
おれもこの映画のビリ・ボブほどじゃないけど、今や色々現実に打ちのめされてヤサグレ気味のダメ男になってきた、、今回は、「もう自分の芯は溶け落ちて無くなっちまってんじゃねえのかな!?」て強烈だけど漠然とした不安に襲われ、どーしても観たくなり観賞した。
同じ映画でも、観た時の年齢や精神状態、境遇の変化で意味合いや重要度が変わるものもあるんだなぁと実感した。
まあ、こーゆー感慨に浸れるのは年食った映画好きの特権すね笑
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