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エデンより彼方にのchakoのレビュー・感想・評価

エデンより彼方に(2002年製作の映画)
3.9
来月公開されるケイト・ブランシェット主演「キャロル」の監督ということで何となく鑑賞してみたところ、これは当たりといった感じでした。

主演はジュリアン・ムーア
以前ジュリアンと親子の役を演じていたエディ・レッドメインといい、デコっぱちでアヒル顔の人が大好きなんです、私。そんなジュリアン、本作でも本当にうっとりする美しさでした。

紅く染まった木々や落ち葉、こっくりとした深いカラーのファッション、舞台となる1957年秋のアメリカ・コネチカット州を見事に再現された世界観にまるでタイムスリップしたかのように冒頭から一瞬にして引き込まれていく。
ストーリーはいわゆる"許されぬ愛"を描いた古典的なメロドラマなのですが、背景には当時タブーとされていた同性愛や黒人差別などの問題が散りばめられていて、心に訴えかけてくるような作品でした。

白人女性と黒人男性が街や展覧会などで話しているだけで人々は後ろ指をさし、二人は瞬く間に噂の的となり不倫関係にあるなどと噂される始末。
「私は誰よりもあなたの味方だから」なんて言っていた友人までもが、例えプラトニックな関係であっても黒人男性を想う気持ちを知った途端に汚れた者を見るかのように態度を変えていく。

そんな差別や偏見が行き交う中で "楽園(エデン)より彼方へ 永遠に輝く場所をみつめて"全てを越えて本質だけをを見ることは可能だと言うレイモンドの姿が魅力的。
演じているデニス・ヘイスバートの穏やかな話し方や控えめな演技がまた好感でした。

誰もが羨む理想の生活から一変し、彼女の未来は楽園より遠く険しい道のりとなってしまったけれど、「誇り高く生きてください」という彼の最後の言葉のように、きっと強く誇り高く生きていくのだろうなと思えるようなラストシーン。
哀しく重くのしかかるけれど、後味は決して悪くはないこの感じ。先日観た「フランス組曲」といい、こういう古典的なメロドラマは好きだなぁ。

どのシーンを切り取っても絵画のように美しい映像、そこに映える凛としたジュリアンが本当に素晴らしかった。
来月公開の「キャロル」も楽しみです!