華麗なる加齢臭

エデンより彼方にの華麗なる加齢臭のレビュー・感想・評価

エデンより彼方に(2002年製作の映画)
5.0
アメリカが最も輝いていた、というか人種問題を含め社会的課題が表面化していなかった1950年代の米国ブルジョワ家庭が舞台。何よりも素晴らしいのは、美術、セット、衣装、アクセサリー、そして車等で見事に1950年代が再現されていることだ。

また、幼少のころブラウン管のトムとジェリー等で知ったお金持ちのアメリカ人の理想的な生活スタイルも余すことなく伝わってくる。

さらに、あたかもその時代に撮影されたように錯覚してしまう色彩が、これもまた素晴らしいものだ.

観るモノがみれば、街路樹の紅葉で色づくコネチカット州の街並を流線形が基調となったアメリカ車が疾走するオープニングだけで、スキを見つけることが出来ない程の時代再現性に感動すら覚えるはずだ。この感動はCGでは絶対に作ることが出来ない。
この映画と比較すれば、あの名作、アメリカングラフィティの時代再現性がレベルの低いモノに見えてしまう。(事実そうであるが)

ブルジョワ家庭に暮らす理想的な主婦であるキャシーをジュリアン・ムーアが演じるが、これが見事なはまり役だし、知的な黒人庭師を演じるデニス・ヘイスバートも素晴らしい。

監督は自らゲイであることを公表しているトッド・ヘインズだが、この作品の13年後、2015年に再度1950年代のお金持ちの生活を映し出した「キャロル」をクランクアウトする。