kakaka

マルキ・ド・サドの演出のもとにシャラントン精神病院患者たちによって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺のkakakaのレビュー・感想・評価

3.9
カナザワ映画祭in高田世界館。
マルキド・サドが収監されている精神病院で患者達の治療の一貫として、彼が演出し、患者と医師、看護師逹が舞台を演じるという、そそるプロット。
演目はフランス革命の指導者ジャン・ポール・マラーの暗殺。
映画ながら、舞台劇なので場面は固定されるので、映画の自由な足は封じられる訳だが、カット割やカメラワーク、劇的な構図でシーンを切り取り、物語に抑揚をつけている。
映画、な訳だが、本当に優れた舞台を見ているよう。精神病院ということで演者と観者を牢獄を思わせる枠で仕切る等、舞台装置も良いし、断頭台による断頭シーンでは、竹ぼうきみたいに木組を引きずり、木組を地面に打ち付け、音で表現する妙や、鞭打ちシーンでは、女性の長髪を鞭に見立てて振り下ろす耽美さ、さらに入浴シーンはくぼみにドライアイスの白煙を溜めて表現するセンス!!
これどう考えても舞台としても一級品でしょう!
史実を演じようとしつつも、劇中にマルキド・サド自身が物語を改編するという可笑しみ、演者である患者が役として狂い暴れているのか、それとも発作なのかというメタ構造も面白い。
革命前後の狂乱は、今も昔も誰が正常なのかはその後の歴史のみぞ知る。
kakaka

kakaka