とても硬派な作り。調査報道の過程を丹念に描くことに焦点が当たっている。
なんか意識高い系な、リベラルな人以外食いつかなさそうな宣伝の感じが勿体無いと思う。#metooを強調しなくても良かったような。。
別に生真面目でもなければ、声高に正義を訴えるようなものでもない。
わかりやすい勧善懲悪モノ。
序盤から「ワインスタイン」の名を聞くと誰もが顔を強張らせ「その話はもう…」。
ワインスタインに立ち向かうどころか、はるか手前のところで弾き返され続ける二人。
まるで大きな城の最上階に棲む王様を相手に、地上を奔走して牙城を切り崩そうとしているかのようだった。
そのうちにワインスタイン側も、口封じの電話だったり刺客を送り込む。
すごくスリリングで、普通に面白い。
そこから浮かび上がってくるのは、単なる加害者vs被害者ではない、社会における立場の問題。トランプの性加害を告発した女性には脅迫物が届くし、正直であることに危険が伴うという現実。
作品としてとても良くできている。とにかく品が良い。
具体的な性描写を一才しなくとも泣きながら走る女性の姿や証言の数々だけで充分に伝わってくるものがあるし、告発者となった女性の描き方にしたって過度に情緒的にしないバランス。
最後、いくらでも盛り上げられそうなとこをテロップ処理にしたのも慎ましい選択だなと思う。
主演二人は本当の記者かのような佇まい。
"双子コーデ"のとこの自然なやり取りとか、社内を歩きながらりんごを齧っては捨てるのとかMacbookに貼られたシールとか、細かいところも含めて、演出が気が利いている。適度な塩梅で、キャラクターに実在感を持たせられている。
