垂直落下式サミング

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらないの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.8
世間体とか外圧のおかげで、最近ようやく真摯に働きはじめたからか、今年ついに肩こりデビューした。なんか重い感じがするから彼女に揉んでもらったんだけど、第一声「はあ?この程度で甘えんなバカ。」と煽られてしまうくらいに、マジで社会舐め腐ったまま大人んなってる奴である。先行きが不安だ。
ご覧の有り様であるから、小さなオフィスで働く社員全員が、同じ一週間を繰り返していることに気付いて、そんでもって本当の生き甲斐ってなに?みたいなメタいオシゴトSFをやられても、よくわかんない。社畜ってやつのマインドがイマイチわかんないんだよな。これからわかんのかな。わかりたくねえな。
映画の人たち、みんな真面目すぎて感情移入できない。僕だったら、タイムループ気付いたら、会社行っても仕事なんかしないと思う。急に次の週に進みだしたとしても、まあ僕に振られる程度の仕事なら一週間のサボりくらいならどっかで巻き返せるっしょ。
だるい上申とか、パワポのプレゼンとか、仕事に絡めた映画としてアイデアが多くて、何周もするうちに精度が上がっていくのも面白かったけど、そんなうまくいくんかな?って怪しんでしまった。
いちばん感情移入したのは、事務員のおばちゃんが出てくるところ。彼女は、先に異変に気付いてたけど、みんなに取り合ってもらえなくて、ひとりで諦めてしまったらしい。どうせまた同じ一週間を繰り返すからと、さっさと帰る。これが一番リアルですね。
人材派遣とか経験したことある人にとっては、けっこうあるあるだと思う。仕事場でやる気だしたって自分の言うこと正社員は誰も真面目に耳を傾けてくれなくて、お前の仕事はこれじゃないからと蚊帳の外にされたりとか、非正規が出しゃばるなと釘を刺されたりとか、そういう悔しい経験したりするものですよね。
同じフロアにいるのに、仲間とは認められてない感じ、新卒で就職できたお坊っちゃんお嬢ちゃんにはわかんねェだろうな。
後半からは、彼女がループの原因を解明して中心に加わるから、職場に垣根がなくなって風通しがよくなり、作品の読了感も後味のいいものになっている。アイツらだけで解決しちゃってたら、けっこう後味悪かった。
僕にとっては、あのおばちゃんの映画だった。主人公の女の人がキャリアアップ志向で…とか、課長はむかし漫画家を目指してて…とか、そのへんの甘っちょろいエピソードにはあんまグッと来なかったので、来週には忘れてるんじゃないかな。鳩がビターンとしても思い出せるかどうか…。