かすとり体力

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらないのかすとり体力のレビュー・感想・評価

3.9
タイトルからして舐めてしまいそうになるも実はかなり面白い作品という噂を聞きつけ鑑賞したところ、まさに同感。

ていうか結構泣いてしもうた…。くそっ!

良かったところ、以下3点。

まず、タイムループものとしての面白さ。

まぁ、タイトルでタイムループものと明記している時点で、ここがちゃんと描けていなかったら失格なんだけど、これをかなりハイレベルでやれている。
具体的に言うと、タイムループに嵌った理由と、そこからいかに脱出していくかの説得力。
ここをロジカルにしっかり描けているかどうかなんだけど、「観察⇒推論(仮説)⇒検証⇒帰納」という科学合理アプローチを進める中で着実にゴールに近づいていく感じが出ていて、納得性高し。まずはこの時点で面白いし、合格。

次に、コメディー映画としての面白さ。
これもかなりハイレベル。これに貢献しているのは、本当に俳優陣の力ですね。
作品全体の演技テンション等が演劇的なんだけど、これがコメディー演出とばっちりマッチ!
何度か、普通に爆笑してしまいました。

そして最後、これこそが本作の強みのところだと思うんだけれど、ヒューマン・ドラマ的面白さ。
言い換えると、人間の成長がしっかり描けているし、その最終的な着地点もとても良い。

そしてこの視点で見たときに、本作の真の主役はマキタスポーツ演じる部長なんだよな。
彼、過去あまり着目したこと無かったけど、演技上手すぎないか?「こんなおっさんいるよな」をリアルガチで体現出来ている。

そしてこれが私の涙腺破壊ポイントなんだけど、「おっさんの悲哀」をしっかり描けているのがヤバい。
なんせこちとら30代後半に差し掛かった一人のおっさんに他ならず、どんな感動モノよりも、こういうのが一番泣けるんだよな。。。
観ているうちに本作、ファンモンの「HERO」みたいな「世の中のお父さん応援映画じゃん!」と思い始めました。昨今の時代の潮流の中で否定されがち、自信失いがちなおっさんたちにぜひご覧頂きたい笑

そして。そのおっさんの悲哀を描くためのアプローチとして「どんな人でも、みんなそれぞれ自分の大切なものを守りながら生きているんだ」という「他者の視点への共感・想像」が置かれているのが尊いし、しかもそれが説教臭く描かれるのではなく「タイムループから抜け出すための合理的な手法」をとる中で自然と達成されるという構成が素晴らすぃ。純粋に脚本としてよく出来てますな〜と感心した次第。

以上です。

普通に面白いことから、おっさんだけでなく笑万人に勧められる良作。
かすとり体力

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