米国。テキサス大学の4年生であるナタリーは、アニメーターとして成功するための5年計画。
ある夜、親友のゲイブと一夜限りの関係に。
卒業式の夜、妊娠検査薬の結果を待つ間に人生が2つに分岐。
妊娠していなくて、ただの食あたりだった。ロサンゼルスに引っ越し。
もう1つの人生では妊娠していて、両親と子育てに。
異なる2つの人生が同時進行してゆく不思議な物語。
監督は、ワヌリ・カヒウ。
脚本は、エイプリル・プロサー。
2022年にNetflixで公開されたロマンティック・コメディ・ドラマ映画です。
【主な登場人物】👩🏼🤝👩🏼
ベネット家。
［ナタリー］主人公。🪞👩🏼🎨
［ティナ］母。
［リック］父。
［ロージー］娘。
その他の人達。
［エライザ］LAでの上の階の住人。
［カーラ］親友。
［ゲイブ］黒髪カーリー。ドラマー。
［ジェイク］職場の先輩。
［ジェシー］シッター。
［ミランダ］茶髪の2つ縛り。
［ルーシー・ギャロウェイ］監督。
【感想】🦉🐢🦜🐦
監督、脚本は中年女性コンビ。
監督は長編2作目でケニア在住。アフリカ期待の星で、SF好き。
脚本家も2作目だが、情報がまったくない。
🌗〈序盤〉
想像の世界。上京してクリエーターとしての成功を目指す人生と、地元に残って母になる決断をした人生の両方を描いた物語。
変わっている。普通は、華やかな人生と、地味な人生に分岐するのに、夢がアニメーターで、両方とも地味。
ポスター詐欺かと思えば、そうでもない。アニメーターではなくて、アニメが好きな人が華やかな世界でチヤホヤされたい話し。
≪テキサス≫🤰🏼
・ゲイブがぼんやりしていて、冷静で可愛い。
・実家に帰って居心地が悪い。母親と娘。女性同士の微妙な関係。
≪LA≫🖌️
・とりあえず上京してから職探しする。田舎者丸出しで懐かしい。
・ルーシー・ギャロウェイは、ピクサー創業時のジョン・ラセターの女性バージョンかと思えば、昔ピクサーで働いていたらしい。(ややこしい)
[カバーレター]📧
送付状。応募職種と理由。実務経験や能力などをまとめたもの。
無精髭のジェイク。アニメーターにしてはイケメンすぎるな。こんなに女の扱いになれた業界人は怪しい。
アニメーターの会話や、職につく過程に現実味が無くてハラハラした。どうして知らない世界を書こうと思ったのだろう。
一般的な人生の振り返り。エピソード集になっている。
思い出しながらノートに書きだすのは楽しそう。
人生の分岐点を思い浮かべて、違う道に進んだ自分を想像する遊び。
同一人物なのに、未婚と既婚の違いが、はっきり出ていて面白い。
女性は出産があるから、男の選択より大きな影響を与える気がする。
🌗〈中盤〉
≪LA≫👚
・ナタリーとジェイクは価値観が近い、とか。鏡と話しているかのよう。広がりのない会話。
・職場や仕事内容にも現実味が無くて寒気がする。
・ジェイクうさんくさい。監督志望らしく、絵を描いている人ではない。
・ナタリーも「アーティストとして認められていない」とか不満だらけ。
書けないものは仕方ない。職業忘れて、夢を抱いて上京してきた人の愚痴や願望として見るしかないか。
［ポートフォリオ］🗂️
プレゼン用の企画をまとめたもの。
≪テキサス≫👩🏼🍼
出産と夜泣き。
先輩である母親が側にいる心強さ。こちらの人生は実感がこもっていて、心が騒ぐし、色々考えさせられる。
「辛い」と言っている人に、周りが的確なアドバイスをして納得させている。過去を振り返って、若い頃の自分に言っているんだろうけど。息が詰まる。
友達と遊びたいならあそぶ。ストレスだったら発散。創作欲求だったら描いて満たすしかない。名誉欲求だったら知らんけど。
苦しみや、欲求は抑えつけないで解放させた方がいい。
2つのタイムラインの影響か、時間が早く感じる。
🤔これって、選択肢の両方を見せて、どちらの人生でも不満は抱くもの。自分の中にある満たされない願望が原因、のような教訓を表現したいのかな。説教臭くて居心地が悪い。
つぎの選択肢。
2つに分岐した後も、それぞれに大きな人生の選択が待っている。劇中では描かれないが、それをイメージさせるイベントに。
4つに別れ、8つに別れ。ネズミ算的に平衡世界が広がってゆく。
髪型のロングとショートで2つの道を区別してあるから、追加するとしたらポニーテールと、赤く染めるとかだろうか。
🌗〈終盤〉
≪LA≫👓
オリジナリティがない、と社長から説教。
「他人の、らしさを引き出すことに夢中で、自分と向き合っていないから」
意図的なのか、無意識なのかブーメランしている。
アニメーターに興味が無いのに、アニメーターの人生を書いたような脚本は、普通は採用されないからねぇ。
(Netflixクオリティ)
≪テキサス≫👩👧
休みをとってみるが、子供が心配で落ち着かない。
赤ちゃんの夜泣きをテーマにした創作。
こちらはよく書けている。
［SXSW］🏟️🥁
毎年3月にテキサスで開かれる、音楽、映画、インタラクティブの祭典。
業界人に向けての見本市のような意味合いが強い。
変わった話しなのに、歴史にならって3幕はちゃんと盛り上げてくれる。主人公のやる気が伝わってくる作りに。
1人の女性の2つの人生を同時に描いてある映画らしい、独特な体験ができる。刺激的。
未体験の構成だったので落ちが読めず、驚きがあった。
普通は視聴者に気を使って、こうは書かないだろう。同性ならではの厳しさ。
仕事を選択した女性の自然な過程をたどるので納得はいく。
2幕までの物足りなさや、視聴者に意図的に与えたストレスを回収するように、綺麗にまとめてある。
キャラクターに人間味があるから、気持ちが変化した時の快感も大きい。
最後まで通してみると、主人公への愛情や思いやりに満ちている。
映像の可愛らしい見た目と裏腹に骨太。試練を乗り越えて幸せを手に入れるような、古典的な話しになっている。
1、2幕を見た時は絶望し「Netflixのランキングどうなっているんだ？」と思ったけど、3幕でひっくり返してくれた。
斬新さと満足感の両方が得られる納得の面白さだった。
