リジョー監督が「ジャッリカットウ」や「チュルリ」よりも前に撮った作品。
牛や村よりはストレートな話だけど、オープニングとラストシーンはやっぱよく分からない。
TIFFで「チュルリ」が上映された時のインタビューで、本作・ジャッリカットゥ・チュルリは「現世ではない世界」を描く三部作になってると仰ってました(意図して三部作にしたわけではないそうだけど)。
ということはやはりオープニングとラストシーンは現世ではなくあの世?もしくは狭間の世界なのかもしれない。
ケーララ州の漁村でおじいさんが急死。
その死を巡りるドタバタ劇。
そこに潜む社会風刺。
家父長制
インドの貞操観念
結婚の持参金
医者や警察の怠慢
棺桶ぼったくり
そして宗教観…
小さな村での人間関係や、話題に乏しい村で人の死を面白おかしくしようとする輩。
それらが複雑に絡まってどんどんおかしな方向へ進んでしまう。
しかし韓国もそうだけど、インドも葬式とかで大袈裟に泣き叫んだりする。
それにかこつけて言いたいこと言っちゃう奥さんには「オイオイ」てなってしまった。
リジョー監督はこういう騒動を通して人間の愚かさや社会問題を冷ややかに見ている節がある。
そこに宗教を絡めて他には出せない唯一無二の空気感を作ってしまう。
ちなみにインドではキリスト教徒は2%強しかいないらしいけど、ケーララ州はキリスト教徒が20%弱ほど。
リジョー監督自身もキリスト教徒ということで、監督作はキリスト教にまつわる作品が多い。
また、ケーララ州はマラヤーラム語を話す人が多いらしく、宗教もそうだけど他の州と比べると独特な歴史や文化を育んできたんだとか。
インド映画の中でもマラヤーラム語映画はかなり独特なイメージ。
エンタメ性よりも社会派やアート系の作品が多い気がする。
それにしても未だに「チュルリ」がTIFFで上映されたっきり日本公開が無いのは何故?!
もう1回観たいのでJAI HOさんでもダゲレオ出版さんでもいいので上映・配信・円盤化お願いします!