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宮松と山下のanomarismのネタバレレビュー・内容・結末

宮松と山下(2022年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

不慮の事故とはいえ、暴力がきっかけで将来の義兄に記憶喪失の障害を負わせ、孤独な12年間を過ごさせた上に、その事実(自分のせいだということ)に気付きつつも、妻に一切黙っているし、当然、山下にも藍にも謝りもしない、という不実な男、健一郎。
・・・そんな彼が夫だなんて、藍(妹)があまりにも不幸過ぎる。

宮松(山下)は義兄として、それでいいのか。
それでいいというなら、山下は、元々、妹が重荷だったんだろうと思う。

山下は野球をやらせれば、どのポジションも難なくこなすという、器用な人物。
きっと、頭もよく、要領も良い人だったのだろう。
両親が亡くなった時、妹の面倒を見るために、仕事を辞めて、地元に帰ってきた山下は、「山下家の良き義兄」として、勤め上げた。
彼は、妹から義兄として「善人」を期待されていると感じたのだろうか。
他人の目があるから、良き義兄でなくてはならないと思ったのか。

彼は頑張り過ぎた。
頑張りすぎて、壊れたのか。
12年前のことを思い出したのにもかかわらず、もう、藍の良き義兄に戻ることはできないと、藍のもとから逃げ出した。

宮松(山下)はそれでいいのかもしれないが、私は藍が心配だ。
不実な男、健一郎はこの先、また彼女を裏切らないとは限らない。
嘘をつき続けられる藍の人生があまりにも不憫でならない。
彼女を救えるのは、もはや山下ではない。
彼はすでに宮松として生きているのだから。
それなら誰が、彼女を救えるのか?
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