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アルゼンチン1985 ~歴史を変えた裁判~のBOBのレビュー・感想・評価

4.0
アルゼンチン初のAmazon Original作品。

1970年代から80年代にかけてアルゼンチンの軍事政権が、反体制派とされる約1万5000人から3万人を誘拐、尋問、殺害した“汚い戦争”にまつわる法廷劇。民政が軍事政権を裁いた初のケース。

"Nunca Mas"

年間ベスト級の傑作。クライマックスの最終弁論は心が震えたし、目頭が熱くなった。今年度の賞レースに絡んでくるのではないかと思われる。というか、ご時勢的にも絡んできて欲しい。

140分と尺は長めだが、テンポが良いし、エンタメ性もちゃんとあるので見やすい。アルゼンチンの政治史に詳しくなくても、分かりやすく纏まっているので問題なかった。

アルゼンチンとアメリカの合作映画ということで、そのバランスが興味深かった。監督・俳優はアルゼンチン人、言語はアルゼンチン訛りのスペイン語(シャシュショ、Vos)、撮影地はアルゼンチンなのに、アルゼンチンの映画という印象をあまり受けなかった。アメリカという箱の中にアルゼンチンがすっぽり収まっているようなイメージで、良い意味で癖がない。

アルゼンチンを代表する俳優リカルド・ダリンがその実力をいかんなく発揮している。白眉のシーンは最後の弁論だが、担当検事に任命されるのを頑なに避けようとするシーンや、若者たちとの掛け合いシーンも人間臭くて良い。

📝Plaza de mayo (5月広場の母たち) アルゼンチンの軍事政権下(1976~1983)の弾圧で行方不明になった人々の消息と事件の真相を求める行方不明者の家族会。白いスカーフがトレードマーク。

"Feroz, clandestina , y cobarde"

605
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