くりふ

ダーリンズのくりふのレビュー・感想・評価

ダーリンズ(2022年製作の映画)
3.5
【ご飯にする?お風呂にする?それとも私…を殴る?】

Netflix、アーリヤー・バット主演の新作が配信なんて、珍しいね!冒頭、シャー・ルク・カーンの制作会社ロゴが出てきて、いかにもボリウッドな明快作かと思ったら、違った。

後から知ったが、共同制作しているのがアーリヤー・バットの会社なのね。で、プロデューサーがシャールクの奥さんとアーリヤー自身。で、監督は女性。ああ、後で色々納得した。

DV夫と暮らし、共依存の関係から抜けられない、アーリヤー演じる奥さんバドルーの悲喜劇。被害は母親から気のいい近所の男、警察まで巻き込み、グズグズと広がってゆく。

物語自体はシンプルだが、外堀から埋めるように…でなく、崩すようにじわじわ進む。この問題を扱うなら納得。アーリヤーの演技の刻み方に、やっぱり巧いなあと感心する。

個人的偏見からは、アーリヤーという人がここまでグズグズせず、スパッと解決に持ってゆく性格に思えるので、そうはできぬと演じることから余計、問題の根深さを感じてしまう。

こういう物語がこのメンツで作られるってことは、ヒロイン同様の女性が大勢、居るのでしょうね。初めての母娘会話で、料理の話でもするようにDVが語られ、驚きましたが。

面白さ、惹き込みでは前半につきます。後半、反撃に出てからは、物語が何度も足踏みしてしまう。このオフビート感も好きですが、ちょっと牛歩すぎる。“コーエン兄弟み”に転ぶかと思ったら、そうでもなかった。

最後はうまく逃げましたね。“逃げ恥”(笑)。何も解決はしていない。アレで解決なら、世のバドルー予備軍はみな、彼女と同じように仕込み、偶然を待たないと。鉄道会社は大変だ。

日本語字幕が出なかったので、わからなかったが、挿入歌「La Ilaaj」は“治療が不可能な心”について歌っているらしい。DV夫だけでなく、奥さんにも被る意味があるから、訳詞は載せてほしかったなあ。

アーリヤーの新作は、『RRR』が早く見たいですね。ハリウッドにも進出しており、ガル・ガドットとの共演作はもう、完成しているそうで。そちらも楽しみです。

<2022.8.10記>
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