いつもいっちゃん

ボーンズ アンド オールのいつもいっちゃんのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
5.0
「君の名前で僕を呼んで」「サスペリア」のルカ・グァダニーノ監督待望の最新作。
ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞受賞。
しかも今回はカニバリズムとラブストーリーが題材の問題作。
かなり好きでした。
しかしティモシー・シャラメは凄く画面映えするのと、線の細さは心配になるほど。
テイラー・ラッセルも中々のインパクト。
そしてマーク・ライランス、狂ってる、、、

人喰い故に社会や人から断絶された少女と青年の出会い。
放浪を続けながら展開する究極のラブストーリー。
そこにホラー、スプラッター、ファンタジーといったジャンルも融合。
食人というタブーを疎外された人々として描き、共に放浪する映像体験。
ルカ・グァダニーノ監督らしい美しい映像とフラッシュバック。そして音楽の雄大さ。
80年代を再現した舞台設定、ファッションも最高。
食人仲間のゾワっとする会話や、殺人、食人シークエンスなど、ホラー味もありますが、ちゃんと純愛ラブストーリーとしても語られる異質なストーリーに余韻が残る。
食人の同族にも色んな人物が存在し、自分が絶対な者もいれば、マイノリティに悩み続ける者、受け入れる者などそれぞれ。
人間社会の人々と同じ人間味がありました。
周りに馴染めなかったり、孤独を感じ生きている若者を概念に囚われず描いた傑作が誕生しました。
題材と過激な描写でR18+指定を食らいましたが、間違いなく若者に観て欲しい1作。
カニバリズムという題材ながらも、自分を見つめること、受け入れることに悩む人々の物語が優しく強烈に描かれた、唯一の作品です。
今年のベストに入れたい映画。