【現代の魔女狩りに立ち向かった人々の軌跡】
■あらすじ
1960年代末、同性愛に対する差別がはびこる中、教え子の青年と恋に落ち、教唆罪で投獄された実在の詩人で劇作家アルド・ブライバンティの人生にインスパイアされた物語。裁判で偏見にさらされるアルドと、家族によって矯正施設送りとなる青年エットレ。二人の愛の行方は…。監督は名匠ジャンニ・アメリオ。「今も存在する“違う人”に対する憎悪に、立ち向かう勇気を与えたい」と制作の動機を語る、ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門出品作。2023年秋全国順次公開予定。
■みどころ
教唆罪にかけられた同性愛者の裁判に関するお話。
実際の同性愛者に対する判例をドキュメントした作品らしく、同性愛者を魔女狩りのように犯罪にかける姿と治療と称した荒唐無稽な荒療治など内容がとにかく濃かった。
その作品の中で アルドは蟻に関する権威であると紹介され、彼のシーンで蟻の体内に関する話がされる。
蟻には自分用の胃と共有用の胃を持つらしく、それ故に利己主義ではない事を告げられる。
これに対して人間の利己主義と照らし合わせるのが印象的だなという作品でした。
とはいえ、蟻の胃に関する興味深い話が蟻の知識を持つ側・称賛する側とそうじゃない人間を線引するだけのツールにしか機能してないのが勿体ないと思いました。
作品の構造上、仕方ないとはいえ実際の判例を時系列でなぞっている部分が多く、天才の特異性と特異性に対して愛せる人と出る杭と称する人を映した作品の印象で個人的にハマらず。