まさかの法廷ロマンスミュージカル。
他作品に出てきたようなジョーカーから一新したジョーカー像。医療刑務所と法廷の往復という閉鎖的で動きのない展開なだけに、おそらく続編があってよく知るジョーカーの刺激的な活躍に繋がるのかなと思いながら見ていたので、この終わり方には驚いた。ハーレイ・クインとの関係もジョーカーからの依存の方が顕著で、まさに別世界のジョーカーといえる。
外の世界ではジョーカーが社会的弱者の星としてシンボル化され一人歩きする。ハーレイ・クインもその一人で、アーサーもそれに応えようとする中での最後の結末は、皆が見たいジョーカーではなかったかもしれないが、それ故に味わい深いものがある。かもしれない。
画面映えしにくい閉鎖的な空間なので、舞台をガラッと変えてしまえるミュージカルにした選択は、良かったと思う。
レディ・ガガの配役はただ歌ウマなだけではなくハーレイ・クインというダークな魅惑のあるキャラに非常によくフィットしていた。
法廷ものというジャンルにあまり馴染みがないので、アーサーなのか別人格のジョーカーなのかという法廷でのやり取りは、各証言がどういう判断材料になるのかいまいちピンとこず乗り切れなかった。
ここで起きることのすべては1980年代の刑務所のずさんすぎる管理体制が招いた事案であり、現代では起こり得ないよなと冷めた目で見てしまう感覚にはなった。
予告の階段のシーン、ないんかい!