このレビューはネタバレを含みます
前評判が色々と凄い事になっている「ジョーカー」続編。
予告、イメージからするとハーレイ・クインとの「ボニー&クライド」ものかと思うが、結論から言うとジョーカーはジョーカーでは無かった話。
パンフやインタビューを見る限り、トッド・フィリップス含め製作陣は前作がここまで世間に影響を与えると思わなかったとの事だから、徹底して神格化したジョーカーを現実に引きづり出すコンセプトと思われる。
その過程をミュージカルを交えてふわふわと描く演出、構成はアーサーの頭の中を表現しているのではないと感じた。
冷静に思い返すとバットマンシリーズに出てくるジョーカーと比べると前作「ジョーカー」のジョーカーはそこまで大した事はしていない。
祭り上げられた存在ゆえ、ただでさえ気が強くないアーサーには重荷以外の何者でも無かったし、だからこそ最後は救いの無い切なさが残る。
そして本作、前作のタイトルにこそ意味があると思う。
「The Joker」ではなく「Joker」。
アーサーが「Joker」であの最後のサイコパスの青年が「The Joker」。
昨今の実態を知らないもの(SNS等)からの影響のメタファーが本作の神格化したジョーカーだったのかなと思う。
奥深くて何度も鑑賞したくなる大好きな一作だった。
そして「オール・ザット・ジャズ」や「8 1/2」「監督・ばんざい!」「時計じかけのオレンジ」が好きな人におすすめ。