茶一郎

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥの茶一郎のレビュー・感想・評価

3.4
 単体の映画としては不格好だが、『ジョーカー』続編としては誠実な作りだと思った。『ジョーカー』に(悪)影響を受けてしまった観客を作り出してしまった現実の社会を見つめ直すと、この続編になって仕方無しという説得力がある。
 『ジョーカー』ファンの視点を大の「ジョーカー」好きであるリー・クインゼルに重ねたメタフィクションであり、「ジョーカーを生み出して申し訳ございませんでした」という謝罪文、もしくは「ジョーカーってそういう映画じゃないよ!」という怒りの表明が前面に来ていて、ミュージカル映画としてのクオリティは損なっていると感じた。
 前作でオマージュを捧げたマーティン・スコセッシ監督の『タクシードライバー』の次の作品に当たる『ニューヨーク・ニューヨーク』は切ないラブロマンスだったが、本作もそれを引き継ぐかのようにとにかく切ない……切悲しい。奇しくも『ニューヨーク・ニューヨーク』も興行的・批評的に惨敗した作品だった。【記録】
茶一郎

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