Tutu

劇場版 TIGER & BUNNY The BeginningのTutuのレビュー・感想・評価

3.8
よくよく調べてみるとロボットアニメ以外にもヒット作をわんさか生み出している,サンライズ制作の近未来ヒーローものアニメ『TIGER & BUNNY』の劇場版。TVアニメ版の序盤にオリジナルストーリーを加えた再編集版的なやつ。

突如として特異な能力を持つに至った新人類「NEXT」。ゴッサムシティみたいな犯罪が多々起こる街を舞台に,彼らはヒーローに扮し犯人確保や人命救助に奔走する,その一部始終はTVショーとして放送され,活躍の度合いによってランク付けされたり,ヒーロー一人ひとりにちゃんとスポンサーが付いていたり,もちろんCMに出たり歌も立ってみたりするという,例えて言うならスポーツ選手が治安維持もしてるみたいな,実利的に一石二鳥のヒーロー像というユニークな世界観である。
ここでいうスポンサーというのは作品内の架空の話ではなくて,本当に実在する企業がスポンサーとして名を連ねている。例えばペプシやソフトバンクや牛角,それに高須クリニックなんかも。スポンサー名は,スポーツ選手のユニフォームに名前が入るように,ヒーローが着るスーツにちゃんとプリントされている。僕はリアルタイムでTV版を観ていないので分からないが,放送時にはタイアップCMがちゃんと流れたりしたらしい。そういう点もこれまでのアニメとは一線を画す非常にユニークな要素である。

本作は1時間半という制約の中で,主人公のロートルヒーロー・ワイルドタイガーと,スーパールーキー・バーナビー・ブルックスJrがバディとしてどうにかやっていけそう,というところまでを描いたお話である。そのため,凄く上手くまとまっているとはいえ,本シリーズの魅力を全て伝えているとは言い切れず,この劇場版はやはりTVアニメ版への誘導,というポジションからは脱しきれない。
本シリーズは,主人公コンビも含めた何人かいるヒーローたち,悪を打ち倒すヒーローとして戦う表の顔と,人間臭い普通の人間として人並みに悩む素の表情が垣間見える裏の顔,これを併せ持つ彼らの魅力が一番の見所であると思うが,とにかくこの劇場版だけではそれを説明するための時間が足りない。なので,本作を観て少しでも気になった登場人物がいたら,ぜひTV版を観て欲しい。TV版ではヒーロー一人ひとりの魅力をしっかり掘り下げている。
そもそもキャラデザインが桂正和なので,見た目だけの魅力も十分である。桂正和といえばお尻なので,ブルーローズのお尻見たさにTV版を観てみるのも良いだろう。最初は僕もそうだったが,彼女のお尻を目で追っているうちに,いつしか年相応に思い悩む彼女の内面が好きになっている。本作に登場するヒーロー一人ひとりにそういう魅力のある作品である。

実のところTV版をちゃんと観たのもつい最近の話なんだけど,もっと早く観ればよかった。でも放送当時凄い人気だったので(今でも根強いだろうけど),天邪鬼な僕は観る気がなくなっていたんだね。僕の捻くれた心根もヒーローが退治してくれないだろうか。
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