りょう

ちひろさんのりょうのレビュー・感想・評価

ちひろさん(2023年製作の映画)
4.2
Filmarksの試写会にて。原作未読です。

ちひろさんの過去は多く語られないけど、母親なのに「同じ星から来た」人じゃなかったって感じる母親だったんだろうな。オカジも同じく。

ちひろさんのところに寂しさを持った人が集まってくる。逆にちひろさんは自分に何も求めないような人に寄っていく。猫のマダム、ホームレスのおじさん、目の見えなくなってしまった多恵さん。

求められると「参ったな…」になってしまう人なのかなと思った。期待したり期待されたりすることから解放されて楽になったと言っていたべっちん、そんな気持ちがちひろさんにもあったんだろうと思う。「地球(テラ)へ…」でちひろさんとべっちんが繋がるあたりがうまい演出でした。

「同じ星から来た人」と出会うことってそうそう無くて、でも生きるために付き合って行かなくちゃいけない人としかほとんどいない気がする。

そこに無理に迎合しなくても、自分は自分、って過ごしていけば、変えた瞬間に多少の軋轢があったとしても気持ち的にすごい楽になるのかもしれない。障がいを持つ方やLGBTQの方をはじめ、多様性を受け入れる方向へ世の中が進んでいる中で、そういった自分は自分って考える個人の考えが否定される謂れは無い。最もお互いを思いやる気持ちの良いコミュニケーションが前提にはなると思うけど。

加えて、このちひろさん、出てくる食べ物が美味しそうすぎる…のこのこ弁当の多彩なラインナップ、特大おにぎり、たこ焼き、ラーメン+餃子+ビール、そして目玉焼き乗っけ焼きそば!帰りにラーメン餃子食べたいと思って新橋を少しだけふらっと歩いたけど、これっていう店が見つけられなくて残念…。それとあの雑な焼きそば!だけどめちゃくちゃうまそう!!雑だけど愛のこもった焼きそば、オカジが泣き出すのも良かったです。

食べるといえばなのですが、一人で食べる時も手を合わせて「いただきます」と言ってから食べる人好きです。それだけで悪い人じゃないって思えます。外で食べる時にそんな光景を見るととてもほっこりします。バイトの面接に来たちひろさんがそうだった。

唯一、原作の世界観とのギャップを確かめたいなと思ったのはホームレスのおじさんの亡き骸を埋めるシーン。ぶっ飛んでるちひろさんですが、ここは本当にぶっ飛びすぎてて。

ちひろさん役の有村架純は歳を重ねるごとに魅力がすごくて、ちひろさんは少しぶっ飛んだキャラだったけど、どこか孤独を抱えている雰囲気が、実際の有村架純の掴みどころのない感じ(とても良い意味で)と合っていたと感じた。舞台挨拶でちひろさんは自分自身とは大きく違うと言っていたけど。
加えて、ちひろさんのファッションもよかったな。なんというか、派手じゃないんだけど、凛としている感じで、バッグがすごい特徴的でかわいくて。

それとバジル役のvanさん、今回が演技初挑戦とのことですが、よかったですね。特に声がすんごい良い。落ち着く。本当にたまーに体の中に響いて入ってくる声の人っていて、最近だと藤原季節とかそう思ったんだけど、vanさんもそうだった。そして超絶美しい。舞台挨拶で見る前に、たまたま新橋の駅の近くでめちゃくちゃ綺麗な人いるなーって思ってたら、舞台に出てきてびっくりしました。

オカジ役の豊嶋花さんとマコト役の嶋田鉄太さんのわちゃわちゃ感も多幸感あったし、マコトのお母さん役の佐久間由依さん、またああいう役も新鮮。
風吹ジュンさんはいくつ歳を重ねられても本当に可愛らしいですね。今見出した「有村架純の撮休」でも有村架純さんと共演だったんですね。
あと、リリー・フランキーが出る作品にほぼハズレなし説。
若葉竜也のシーンもよかったですね。どうして彼の演技は淡々としてるのに心に残るんだろ。

映画館とNetflix同時公開ですが、映画ではエンドロールの後に幸せな特典映像あります。なので、映画館でちひろさんに会って、そんでまたNetflixで見て、ちひろさんに背中押してもらいましょう!
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