今泉力哉監督作品。元風俗嬢という原作マンガのちひろさんを見る限り、その外見は有村架純とは1ミリも似ていない。この映画のキモはこの一風変わった主人公に彼女を据えたことだろう。例えば一見ドライな他人との距離の取り方なのか、この女優とキャラクターの内面の何かがリンクしているような気がしてならない。その意味で確かなリアリティを感じるし、両者を称した監督の「真面目でかつ飄々としている」という表現には妙に納得させられた。原作の「人間を脱ぐ」という台詞に象徴されるように、とかく「みんなと一緒」を強要されて日々生きづらさを感じている現代人に、さりげなく風通しのいい生き方を教えてくれる物語。改めて「居心地の良さ」とは、つくづくひとそれぞれなのだなぁと感じた。テレビ画面でも泣けたので映画館だったらやばかった。
