玉生洋一

似ているの玉生洋一のネタバレレビュー・内容・結末

似ている(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭のあらすじだけ読んでから視聴し、
そのような状態に陥った人間の細かな機微が描かれる作品かと予想していたが、
まったく予想外の大味な展開で驚いた。

盗作した田中は一貫して真摯な態度だし
盗作された男は100万円をありがたがるお人好しだし
テレビクルーはせっかく追跡したのに部屋の中の会話を盗み聞きするでもないしで皆、いい人ばかり。

唯一のクセ者は妻だが
そもそもシーツを被った人物というモチーフが元々は
他者からもたらされたという可能性もあったわけで
(友人との雑談でモチーフを決めることもあるし、
共通テーマを設定して競作した作品のモチーフを気に入ってその後連作を続けることもあるだろうから)、
それを夫に確認せずに会社面接をすすめるというのは
ちょっと乱暴では。
もっとも、夫からシーツ作品の細かな発案の敬意をきいていたということかもしれないが。

同じ設定でもっと複雑な面白い場面が描けそうだと思ったが
ショートフィルムとしてまとめるなら適度な長さか。

最後に田中がライターを取り出したのは
やはりすべてを焼いてしまおうという悪い思いがあったという意味合いだろうか。

#VIVA