このレビューはネタバレを含みます
思うに名作を名作たらしめる要因の一つにキャラの内に秘めた「寂しさ」が描かれてるか、というのがあるのではとよく思う。
リッグスはたしかに滅茶苦茶だ。
奥さんを亡くした悲しみのなかで、殉職の機会を欲するように危険に飛び込んでいく。
それを周りは「イかれている」と評価する。
でもそうじゃない。
自暴自棄なようでいて、最期の一線を超えないようにギリギリで踏みとどまっている。
彼の寂しい心は、まるでホームドラマを絵に描いたような相棒マータフ一家との交流によって解きほぐされていく。
ラストのリッグスとマータフのやりとり
「ひとつ言っておきたいことがある。俺はイかれてない」
「わかってる」
は、この映画がただのド派手なアクションを売りにしただけの作品でないことを象徴して、泣けるほど温かみに満ちている。