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●ささくれ
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短編。
30分という短い中で、簡潔にしかも印象的に登場人物の関係性と主人公の置かれている状況を描き出す上手さ。
主人公瑞季が婚約破棄された理由は語られないが、その言葉遣いや振る舞いで何となく察せる具合が良い。
それぞれの登場人物達の背景や生い立ちは当然ながら仔細は描かれないが、これも何となく感じられるのは単純に脚本と演出、出演陣のうまさなんだろう。
奇しくも音信不通だった父親に吹っ切れるきっかけをもらって、送り返された荷物の片付けを始める瑞季の"ほんのちょっと"片付けてるだけってのも、結構好きなんだよね。
今回の再上映のための短編『追想と』は、物語の奥行きを付けるとても良いものではあったが、個人的には『ささくれ』の余韻というか、あのラストの余白がとても好きなのでちょい蛇足かなぁという感想。
描ききらないのがこの映画の美しさですね。