茶一郎

イギリスから来た男の茶一郎のレビュー・感想・評価

イギリスから来た男(1999年製作の映画)
3.9
 【短】かつて英国水平が壊血病予防のためライム(lime)果汁を飲まされていたことに由来して「limey」は「イギリス人」を表す俗語だそうで、今作の原題『The limey』はそのものズバリ「イギリス人」を表し、物語も最愛の娘を亡くした一人のイギリス人の男の復讐劇を描きます。
 今作『イギリスから来た男』は、良くも悪くも破茶滅茶なソダーバーグのお遊び編集が堪能できる一本になっていました。全編に乱立するカットバック・カットフォワード、前のめり編集の嵐と、非常に実験的な作品である一方、「復讐劇」および「小悪が巨悪に挑む」というそもそも強度のある物語の軸のおかけで理解しやすい映画になっている印象を受けます。いわゆる「ナメてた相手が実は殺人マシーンでした」モノの系譜として、「ナメてたイギリス出身の初老男が、実はとんでもない執念の殺人マシーンでした」ムービーと言えます。
 まぁ、そんな実験的な編集も、ジャンル的な物語も、主人公を演じたテレンス・スタンプの顔力で全て吹っ飛んでしまいますが。
茶一郎

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