娘の死の真相を探るためにL.A.に降り立ったテレンス・スタンプ。ほとんど幽霊同然の立ち振る舞いがいい(ソダーバーグもそこを強調して撮っているのでは? のちの『ソラリス』とも“心霊”を接点として繋がる)。チンピラたちにボコられて地面に投げ捨てられたあとの、あのなんとも知れん“むく〜っ”とした立ち上がり方がとくに印象を与える。オチに当たる真相も非常に鮮烈。今となってはここから引っ張ってきたかのような同じ類の後続作品も目立つが(3年前に日本公開されたやつ)、完成度では断然こちらに軍配が上がるだろう。それから60年代という過去の時代への郷愁は、単にノスタルジックなだけの作用に終わらず、むしろそれよりも鎮魂といった風情の侘しさをそなえている。怪談的ハードボイルド。傑作