ピートロ

少女は卒業しないのピートロのレビュー・感想・評価

少女は卒業しない(2023年製作の映画)
4.0
『カランコエの花』の中川監督、本作が初長編とは思えぬクオリティ。
瑞々しいキャストらもみな演技がうまく、特に河合優美はオーラがあった。
4人の少女のオムニバスだがそれぞれのストーリー同士の関係性の希薄さもわざとらしさがなくてよい。
朝井リョウ原作の映画ってほぼハズレがないな…。

他のユーザーの感想・評価

きゃほ

きゃほの感想・評価

4.1
学校が世界のすべてだと思っていたあの頃を思い出した。
朝井リョウさんが「選ぶことができないというのが青春を表すキーワードだ」とコメントしていた。小中高は、その要素が強かったなと思う。わたしには、自分で選べないことがキツかった。大学生、社会人になって、のびのびできるようになってようやく「青春」が終わった。
やすえ

やすえの感想・評価

4.0
原作 朝井リョウらしい高校生の群像劇。すべての事象が、すべての感情が細かに語られることなく、余白を持ったストーリーが続く。後半にはその余白を埋めるように様々な感情が動き出す。若いキャスト陣の演技が都度光るが、特に中井友望の演技には心動かされた。
5年もかかったか

カランコエの花で一躍脚光を浴びた中川駿がようやく長編デビュー。結局5年もかかってしまったわけだがそれだけ丁寧に丁寧に納得のいくまで人物描写にこだわる才が作品の中に満ちていた。ここ数年の河合優美の充実ぶりもいい。
Monisan

Monisanの感想・評価

4.1
観た。

最初は実際の高校生活ってこんな感じでしょう、という演出というか見せ方が、むず痒くて入り込めなかった。

卒業に向けてそれぞれのお話が進んでいくうちに、徐々に心地良くなってくる。
バスケ部の後藤が花火を買ってるシーンとか。軽音部の神田とイロモノバンドの森崎が2人乗りして帰るシーン。図書館での作田が先生と図書室の片付けを一緒にしているシーン。特段何も起こらないんだけど、この辺りからグッと惹き込まれる。

そこから卒業式を挟んでからの、屋上での花火、作田が先生に本を返すシーン、森崎のダニーボーイは涙が出てしまう。
本当に卒業したく無いって何故か自分まで思ってしまった。

山城まなみは役の河合優実はお弁当を2人で食べる所では断トツで他の3人より上手だな、と思っていたけど。
話が進むにつれ、他の3人の愛おしさが上回ってきて。ラストはむしろ少し冷めた。難しい役なんだろうけど、後半少し演技力で勝負しにきた感じがしてしまった。
小野莉奈、小宮山莉央、中井友望はとてもナチュラルに演じ切った。

あとはラストの芝居がかった演出もだけど、エンディング曲ですっかり冷め切ってしまったので、そこは本当に勿体無い。インストの綺麗なクラッシックとかで締めてくれたら余韻を楽しめるのになぁ。

でも後半にかけて観終わりたく無い気持ちにさせてくれる映画でした。

中川駿、脚本・監督
傑作

 余談だけど、AKB48の初期の卒業ソング「桜の花びらたち 2008」のMVが、少女たちの卒業式前後のセンチメンタルなちょっとしたエピソードのショートムービー仕立てになっていて、それを思い起こした。

 本作は、4人の少女の卒業式前日と当日を並行して描いていくオムニバス形式。ちょっとした映画的ギミックがあるが、4人のエピソードが特に絡み合うこともなく、構成としてはオーソドックス。けれど、主人公の4人とその友達の会話の内容から仕草から間合い、さらには教室のわちゃわちゃ感まで、高校生の生っぽい空気感が本当にリアルで、その上高校最後の日の決して特別ではないけれど甘酸っぱくてノスタルジックなエピソードが沁みる。

 メインの4人、河合優実(「ちょっと思い出しただけ」「PLAN 75」)、小野莉奈(「アルプススタンドのはじの方」)、小宮山莉渚(「ヤクザと家族 The Family」)、中井友望(「ベイビーわるきゅーれ2ベイビー」)はもちろんだけど、ちょこっと出てくる友達役の少女たちみんなが本当に自然で素晴らしい。たぶん、ワークショップとかエチュードとか、たくさんやったんだろうな。窪塚愛流の話し方がお父さんそっくりなのは笑った。
図書室に通い詰めてた子の卒アルのメッセージ欄はびっしりじゃなくて最後に友達になれたひとりの子だけでよかった
映画『少女は卒業しない』を観た。

「朝井リョウ原作×高校生の群像劇」といえば、11年前の『桐島、部活やめるってよ』が思い浮かぶけど今作もとんでもない傑作でした。

今後の日本映画シーンを牽引していくこと間違いなしの俳優・河合優実の初期キャリアの代表作として語り継がれる一本になりそう。
2023年 29作目

近年の青春映画の中でも群を抜いて面白さとリアリティーを感じる傑作。中川監督の前作「カランコエの花」も本当にその場所で高校生活を送っているかのような実在感をそのままに映し出すこと上手いと思っていた。本作も3年間高校で過ごしていたのかのような説得力と若さからの透明感を随所に感じた。

朝井リョウさんの原作も非常に良かったが、映画化するに当たってオムニバス形式だったところを一本の長編したいたところの構成が見事だった。直接的ではなく、視線やカメラの映すところで今後や心情を予感させるところは原作を知っているからこそでもあった。挙げるときりがないくらい細やかで自然な演出が本作を傑作にしていた。
S

Sの感想・評価

3.5
良くも悪くも原作朝井リョウをビシビシと感じた。高校生の揺れ動く心境をよく描き切っている。

卒業したら当たり前に一緒にいられる時間が終わってしまうという寂しさと焦り、ものすごくわかる。好きな人だけではなくて、友人にも、それを実際に感じていた。とても共感できるセリフとかが散りばめられてた。
ミ

ミの感想・評価

3.3
激推し女優河合ゆうみちゃんが出てたのにハマらなかったのはたぶん女子高出身だからか、、、痛感、、
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