ヨーク

ワイヤー・ルームのヨークのレビュー・感想・評価

ワイヤー・ルーム(2022年製作の映画)
3.5
未体験ゾーンの映画たち五本目。
これは中々面白かったですよ。低予算丸出しではあるんだが、その資金的な制約の中でもどうすれば面白い映画になるだろうという創意工夫が見られる映画で、そういうとこ含めると実際の映画の面白さよりも好感度でポイントを稼いでいくようなところはあったな。いやまぁ映画自体も割と真っ当に楽しめるものではあるんだが。
お話。『ワイヤー・ルーム』というタイトルだがそのタイトルが意味する部屋というのは犯罪者を遠隔から監視してその動向を探っている部屋のことなんですよね。監視カメラとか盗聴器とかを駆使して目星のつけた犯罪者の動向をチェックして泳がせながらその更に背後にいる大物の犯罪者をあぶり出そうというわけ。本作では巨大カルテルに通じているとされる麻薬の売人がその監視対象。んで主人公はシークレットサービスをクビになってこの部署に飛ばされてきた男で、要するに新人さんですな。その新人が赴任して即トラブルに巻き込まれてあろうことか監視対象の麻薬の売人とリモートで協力しながら事件を捜査していくというもの。
そういうお話なんだけど本作の肝はやっぱ監視者である主人公と監視対象である悪人がやむを得ず協力プレイをするというところですね。これ『ブラック・サイト』でもそうだったけど低予算だから舞台をそんなにたくさん用意することができなくて、どうしても一つの建物の中でお話が完結してしまうという低予算映画の欠点をなんとかカバーしようというアイデアで、本作でも監視側の人間がいる指令室みたいなモニターがいっぱいある部屋と監視対象がいる個人宅との二つのロケーションしかないんだけどその二つを行き来しながら捜査が進展して事件の裏側にいる人物が見えてくる辺りとか真っ当なサスペンス感があっていいんだよね。
あと協力プレイという点では監視対象者の元に送られた刺客を主人公がカメラ越しに捉えて、監視対象者に「その角の先に二人いる」とか伝えながら死線を潜り抜けていく感じはテレビゲーム的な協力プレイ感あって面白かったですよ。まぁ戦闘シーンのアクションは結構お安い感じだったけどさ…。
そんな感じで安いなりに色々工夫されてたので全然観られる映画ではありましたね。ただ本作の売りにもなってるブルース・ウィリスが病気の影響もあるのかほとんど出番がなく、歳のせいもあろうが棒立ちでショットガン撃つくらいのことしかしていなかったのは彼の全盛期を知るファンとしては悲しみがありました。いやまぁブルース・ウィリスの名前は去年の『サバイバル・シティ』がそうであったように単なる客寄せパンダであろうことは分かってたけど、目に見えて老いていたのでそこはただ残念であった。まぁ初孫が生まれるまでは元気であってほしいものですよ。
まぁそんな感じですね。ブルース・ウィリスが目当てだとかなり辛いところはあるが安い割にはよく出来た犯罪サスペンスでした。
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