しょうやん

桜色の風が咲くのしょうやんのレビュー・感想・評価

桜色の風が咲く(2022年製作の映画)
4.0
盲ろうの通訳介助員をしている関係で、モデルになった福島智さんにも15年以上前にお会いし、漫画や本になったものも読んでの観賞。
実話で、幼くして両目を失明し、高校生で失聴し全盲ろうとなりながらも、初の大学教授となった福島さんの幼少から指点字で社会へ戻って行くまでを綴った映画。
「見えなくて聞こえないのは、暗く深い海の底に一人いるようなもの」と、福島さんから聞いた。「だれも僕に触れなければ、そこに人がいることもわからない」と。見えなく聞こえない程度も弱視や難聴の人もいるし、見えなくなってから聞こえなくなった人、聞こえなくなってから見えなくなった人、いっぺんに視覚と聴覚を失った人、大人になってからか、生まれつきか… 実に様々な盲ろう者がいて、触手話や手のひらに文字を書いたりとコミュニケーションも様々で、その一つ、盲で点字習得をしていて聞こえなくなった方が使うコミュニケーションが指点字で、それを開発したのが、福島智さんのお母さん。今や世界中で使われる指点字。見えなくても明るく前向きに生きてきた息子が聞こえなくなった時、息子に何とか手軽に話しかけようとして生まれた指点字は、母の愛そのもののように思えた。
向かい合って智の手に点字を打つシーンはカニタイプ式、二人並んで桜並木を歩く時はパーキンス式(この2つの指点字は上下左右反転している)と様式のちがう指点字をきちんとやっていた小雪さん、本当にすばらしかった。
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