てる

劇場版 舞台『刀剣乱舞』悲伝 結いの目の不如帰のてるのレビュー・感想・評価

3.6
この作品を観るなら、この前の全ての舞台を観たかった。号泣できたのかもしれないが、あまり泣けなかった。
前作の大阪冬の陣、夏の陣を観たあとだと、少し人間ドラマのボリュームに不満がある。
足利義輝と名もなき刀の刀剣男子の話しは好きだった。個人的にはもっとそちらの方のボリュームを上げてほしかった。
やはり時代を熱く生きた武将は、歴史を変え、天下を勝ち取りたいと思うもので、この男は足利家の復興を願っていた。顕現した名もなき刀剣男子が、志半ばで果てた彼を守り、夢を叶えてほしいと思うのは当然だ。
本丸の刀剣男子たちの中には、かつて彼の刀だった者もいる。だが、今は審神者が主人であり、歴史を守るのが使命だ。かつての主人と今の主人の狭間で揺れ動く姿は胸を打つ。
私は個人的にはこういった歴史上の人物と刀剣男子たちとの揺れ動く人間ドラマが好きなんだが、それが今回は少々弱めだった。
今回は本丸、というか三日月宗近のストーリーが主だった。
三日月に起こっている出来事が、突然起こったように思えてならない。今までの作品を観ていたなら、そうは思わなかったのかもしれないけど。
だから、突然降って沸いたその出来事が、いきなり、ストーリーの主になってしまい、肝心の時間遡行軍との戦いが置き去りにされてしまったように思えてならなかった。
今回の作品は、これまでの舞台作品のターニングポイントであり、集大成のような位置付けなのはわかる。だが、そうするのであれば、少々詰め込みすぎではないだろうか。
この作品はもっと丁寧に丁寧に作ってほしかった。
山姥切国広が今後の主役になるのは、わかっていたが、三日月宗近に比べるとちょっと弱いんだよなぁ。今後、どうなるのかなぁ。三日月宗近を切るまでいくのかなぁ。それとも救い出すことが出来るのかなぁ。気になってしょうがない。
それも気になってしょうがないけど、維伝を早く観たい。そっちは非常に期待している。
てる

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