太宰治の文学から抜け出してきたようなハイカラな田中麗奈がいい。
そこだけ絵画みたい美しさで、田中麗奈の存在と各シーンがなかったらメリハリもなかったし、終始不穏で暗いだけの作品。だからこそあってよかった。
猫背で斜め下を見てる柄本明が出てきた瞬間、邦画がホラーになる現象、名前つけた方がいい。
狭いコミュニティ、村社会、デマ、抑圧。
公式サイトでは森達也監督が人が村になった歴史と、村社会や防衛について語ってる。
みんなの言う通り後半の30分かなり胸が痛んだ。想像以上だった。
朝鮮人と間違えられてあっという間に襲撃かと思いきや、張り詰めた闘争だった。現実もこうだったのかなと思うと胸がやられるし、光がない。
それゆえに主演4人にずっと光がないのに、主演4人が庇うシーンもグッと来たし悲しかった。知らない、判断できない、無知って悲しい。
怒りと怒りが悲しみを呼ぶ。森達也監督、とんでもない映画作ってくれたなと思った。
だけどドキュメンタリーだって映画と同じで落とし所も救いもないときはないのだ。
「誰が悪いのか」と問いたくないけど問いたくなるようなラストで「由宇子の天秤」を思い出した。