実話を元にあくまでエンタメとしてうまくまとめた脚本で、盛り上がりに感動して楽しめる作品。
もちろん「実話」が売りではあるのだが、ちょっと調べるとかなりデフォルメされ、いろんなファクターを切り捨てて、そのうえで「ファンタジー色」を強く出し作られたフィクションであることはすぐに理解できる。
リチャード三世の墓をフィリッパ・ラングリーの努力もあり見つけたのは事実だが、レスター大学関係者を悪役としてオーバーに描いたのはちょっとやり過ぎかな。
時系列も分かりやすくスピーディーにしているが、DNA鑑定に手こずったようだ。
映画としてのまとめ方が上手い。
普通に実話ベースのドキュメンタリー風にしてしまうと、お堅い話になりそうだが、リチャード三世の幻を出すことで、一気にファンタジーとしてのおいしさが出て、英国王の歴史になど興味がない人でも楽しめる物となっている。
また、サリーの演技も見事で見所だ。
ファンタジーとして楽しめる作品。
余談。
2012年に発掘がされたのだが、あの駐車場にリチャード三世が埋まっているという意見はすでに1975年からあったそうだ。
「1975年にはオードリー・ストレンジが、協会の学会誌 "The Ricardian" へ、リチャード3世の遺体はレスターシャー・カウンティ・カウンシルの駐車場に埋まっているのではないかという学説を発表した」
なので、映画の描写のように、普通の主婦が努力してそこを見つけたわけではなく、以前からあった説を信じ込み、資金を調達して、実際に発掘までこぎつけた、ってこと。
言い方は悪いが、運が良かっただけなのは確か。
で、もっと言うと、発掘調査は発掘よりもその後の学術捜査が実はメインで、勿論そちらの方が何十倍も大変。
「そこにある」と盲信して突き進んだ主婦の物語として、感動できるのだが、大学を悪く描くのはちょっとなぁ~。と思ってしまった。