ボギーパパ

ヒトラーのための虐殺会議のボギーパパのレビュー・感想・評価

ヒトラーのための虐殺会議(2022年製作の映画)
3.7
劇場2023-10 DENKIKAN

第二次世界大戦中の1942年1月20日。
ドイツの高官らがユダヤ人の移送と殺害について分担と連携を討議した会議を行なった。
その会議の資料を元に映画化した作品。
これまでホロコーストに関する作品は結構積極的に鑑賞してきたが、本作は異質。

ただ、ただ会議の模様を映し出す。
劇伴も、効果音すらもなく淡々と会議の様子を映し出すのみ。
その会議において、誰も激昂するわけでも、侃侃諤諤、蹇々囂々するわけでもない。意見の相違はみられるものの、休憩など挟みながら粛々と進められる。腹の読み合い、探り合いはこのブレイクタイムに現れる。

しかし、しかしである。
この会議での議題は、あの人類史上最悪の愚行を、いかに「効率的」に、自分と自分の管掌組織がいかに「楽」をするか、なのだ。

まぁ、観ていて不快、不穏、不可思議、のオンパレード。処理、最終処分って、、、
これが史実に基づいて制作された作品だというのだから信じられない、というのが正直な感想。本当にあんな会議だったのだろうか、、、ホロコーストを皆が基本的に是認しており、「ワンマン社長が決めた既定路線は変えられない」から、そこはもう突っ走るしかないって、どっかの会社にもあるだろう景色だが、、、、

ホロコーストに関して描いた作品数多かれど、そのロジスティックというか政治的分野を描いたものは記憶にない。

ホロコースト自体を描かず、その恐ろしさ、人間の恐ろしさを描く、この手法は考えれば考えるほど恐ろしさが募る。骨身に染みる恐ろしさとはまさにこのこと。

それにしても16人の会議で1100万人の生命を左右するって、、、
兎にも角にも、このヴァンゼー会議出席者について事前に勉強してから鑑賞すればよかった、、、会話が早いし、立場とか役職、任地やヒトラーとの近さとかもっと調べてからでないと真の狙いまで辿り着けない。

勉強してもう一度トライできるかな、、、
ボギーパパ

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