◆あらすじ◆
1942年1月20日、ドイツのヴァン湖畔の邸宅でラインハルト・ハイドリヒの主催によりナチスや政府の高官が集まって会議が開催される。そのテーマは「ユダヤ人問題の最終解決」であった。
◆感想◆
第二次世界大戦中の1942年、既に進行中であったユダヤ人排斥についてより具体的にその手段や負担などについてナチスや政府高官が話し合われた実際の会議を描いたものになっており、「ユダヤ人の絶滅」という狂信的なテーマに何の疑いもなく、ただ責任分担を図りあう姿が本作の異様さを印象付けていました。
本作における会議はナチス親衛隊が主体として行われており、外務次官や内務次官などの政府高官はそれぞれユダヤ人の絶滅のための負担について意見を述べており、ユダヤ人への虐殺行為に対して、誰一人として反対する者がいませんでした。ナチス親衛隊は法律などの基準を相手にせず即時的にユダヤ人を虐殺しようとするのに対し、政府高官が法律などの問題点を述べるのみなので、会議と言っても論議自体は無いに等しく、ナチスへの完全な追従を確認し合うだけでした。
会議の前提が狂っているので、観ていてずっと不愉快な気持ちになって、スッキリしないまま終わってしまいました。現在でも色んな人種差別が問題となっていますが、本作はそのはるか上を行くものになっており、狂人の宴のように感じました。
本作を観て良かったのかすら分からないですが、こんな思考のもとにホロコーストが行われていたことへの恐怖を喚起する作品となっていて、人がここまで残酷になれるのかと思うと本当に恐ろしいです。
鑑賞日:2025年4月18日
鑑賞方法:CS ムービープラス
(録画日:2024年6月5日)