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西部戦線異状なしのKotaのレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
3.9
“驚くほど静かだ。”

何度か映画化されている今作をドイツ人監督、スタッフ、俳優陣で再び映像化。今年度アカデミー賞で国際長編映画、撮影、作曲、美術賞をとっているのも納得の完成度。本編はもちろんNetflixにある15分のメイキング映像がこれまた面白い。

現場のセットや衣装や特殊効果、メイクアップが驚くほどハイレベルなことにより、もはや役者は途中から演じていない事に気づくと語るほど、作り物とは思えないリアリティ。主演の軍服だけで20着以上、泥だけでも数種類(主演の顔につく泥が特に印象的)。メインテーマ“Remains”は戦争の合間訪れる静けさとその後に何か起こると感じさせる不穏さを完璧に表現。主演のフェリックス・カーマラーは若手の舞台俳優ながらマルコム・マクダウェルのような狂気を纏った表情がスクリーン上でめちゃくちゃにキマる、今後も期待の俳優の一人。

総じて、100年以上前に起きた惨劇を、ここまでリアルに再現するのはもう神業としか言えない。
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