れんこん

西部戦線異状なしのれんこんのレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
4.0
大人の言葉に丸め込まれた若者たちが意気揚々と戦場に向かう姿を俯瞰する痛ましさ。そこで現実を目の当たりにして、恐怖して、喪って、愕然としているうちはむしろ正常だったのかもしれないと思わされる。あらゆる感覚が麻痺していくのが切ないし、それを一瞬取り戻すシーンがまたつらい。あの場所では人の命も尊厳も簡単に消えてしまう。

最後の15分は動悸がしたし、観終えたあとはあまりに虚無。何度も印象的に流れる音楽も、映画としての構成のうまさも、すべてが虚無感を一層大きなものにしていたように思う。

まごうことなき反戦映画だった。続けちゃいけない、繰り返しちゃいけない。
れんこん

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