明石です

西部戦線異状なしの明石ですのレビュー・感想・評価

西部戦線異状なし(2022年製作の映画)
4.3
「休戦を阻んでいるのは誤ったプライドに過ぎない」

開戦から終戦まで4年間膠着し、たった数百メートルの陣地を得るために300万人が命を落としたドイツ・フランス間のいわゆる「西部戦線」を舞台に、前線に派遣され、死んでいく若い兵士たちの物語。

ナショナリズムの旗印のもと、当時のドイツの青年たちがいかに激しい高揚の中で戦地に向かっていったかが丁寧に描かれる。兵隊服を支給され顔を輝かせていた新兵が、戦場で現実を知り失望、そして犬死に。第一次大戦は毒ガスの使用や塹壕戦により、史上稀に見る悲惨な戦争になった、という事実を教科書的な知識として知っていても、こうして見るのは別物ですね。どれだけ泥沼化しても終わらない戦争。国と国の間に引かれた見えない線線のためにこんなにも人が死ぬとは、この戦争がいかに馬鹿げたものだったかがわかる。

今風の戦争映画では普通?なのかもだけど、爆発音で耳が塞がれ、周囲の音がくぐもって聞こえる感じが忠実に再現されてるの、最新の映画っぽくて良い。戦車に押し潰される兵士や、火炎放射器で燃やされる死体がアップで映されるのも技術に感謝ですね。ドルビーシネマとかで見たらさらに感動しただろうなと思う。

——好きな台詞
「このペースなら180年後にフランスを占領できる」
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